子どもはあなたではない、別人格
批判ではなく寄り添う気持ちをみせる
「成人した子どもと良好な親子関係を築くために、親はどのようなことに気を配ればよいでしょうか」という質問を寄せられたことがあります。 基本的には、親と子どもは別人格であるという前提で、子どもの意思を尊重することが大切です。親の気持ちを伝えることは良いコトではありますが、それはあくまで親の気持ちです。 親の気持ちを子どもに強要しない姿勢が求められます。「適度な距離感をとる」という言い方もできるかもしれません。
適度な距離感を取ったうえで基本的な関わり方として、批判よりも共感やサポート的に回る方がよいでしょう。 このことは成人した子どもとの関係だけに限らず、あらゆるコミュニケーションにおいて大事なポイントとも言えます。 親は心のどこかで「親子だから」という特別な思いを持って強くふるまってしまう場合もありますが、基本は別人格であるということを心にとどめておいて接してください。
一度の会話で100%を求めないで
小さいアクションからコミュニケーションを
「親子の会話がないけれど…」という声もあります。親子がどのような関係性であるか、家族によってさまざまでありますが、もともと疎遠な関係なのに、いきなり結婚や将来のことといっても、それは誰であっても受け入れにくい会話でしょう。
できれば仕事や趣味、日常的なことなどをさりげない会話をするぐらいの気持ちで小さくアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。大事なのは、声をかけてすぐに多くの反応を求めないというスタンスで臨むことです。
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仁愛大学人間学部心理学科教授
森 俊之氏
福井県出身。高校までは県内で育つ。
筑波大学大学院博士課程心理学研究科修了。博士(心理学)。
臨床心理士、公認心理師のカウンセラー資格をもち、
相談活動にも従事。4児の父親。