「結婚して家庭を作る」は昔のハナシ!?
20代は性も恋愛も考え方が柔軟
人それぞれではありますが、以前は「結婚をして家庭を作る」というものが、一つのモデルでしたし、価値観もそこまで多様ではなかったように思われます。
現在は、「多様性」と言う言葉が重要視されるほど価値観が多様化し、以前の恋愛観や結婚観が正しいとは限らない流れにあります。そもそも「恋愛や結婚をしない」という価値観を強く持つ方も増えてきました。
LGBTQ+という言葉が話され、性に関する考え方が普通に語られるようになってきています。
どうして恋愛経験が少なくなっているの?
20代に限らずとも、恋愛経験が乏しくなっている理由としては、以下の内容などが考えられます。 もちろん、人によって原因は異なりますし、複数の理由が相互作用している場合もありますので、明確な答えを求めるのは難しいものです。
価値観の多様化
「恋愛をするほうがいい」「結婚をするほうがいい」というような恋愛や結婚を良いこととする社会的な意見や前提がなくなってきています。
娯楽性の多様化
ゲームやメディア等も含め本人が楽しいと感じることが恋愛以外にたくさんあります。恋人がいなくても自分だけ、仲間だけで楽しい時間を過ごすことできる娯楽があり、世の中になっています。
経済的コストの分散化
娯楽等が増えるとそこにかけるコストも増えます。恋愛をコストと考える人もいて、どこに費用をかけるかバランスを求める若者もいます。
ハラスメント等、対人的なモラルが強く求められる社会的風潮
ハラスメントを強く戒める社会的風潮は今の時代の当たり前になり、若者はその中を生きています。 しかし一方で、ハラスメントに触れるおそれから、声をかけたり誘ったりする積極的な対人関係(コミュニケーション)を控えてしまう方向にもなります。
個人主義的・目的主義的な社会風潮による出会いの機会の減少
学校は勉強をするところ、会社は仕事をするところであり、その目的とは関係ないプライベートなこととは一線を分けるという考え方が強くなっています。 昔は当たり前だった職場での出会いや交流そのものが少なくなっています(会社の懇親会等の減少など)。
情報量の増大
インターネット社会の影響で、内容の正誤を問わず、多くの情報が常に手元にある状態です。 情報が多いと、人はそれらを整理できず混乱したり無力感を抱いたり、過度な理想像が形づくられたり、ひいてはネガティブな情報から恐怖を抱いたりなどの影響が考えられます。
対人力の低下、自信の喪失
上記のような個人主義的なことから、学校や会社で目的外のコミュニケーションの「量」つまり機会は減っており、結果的に人と話すコミュニケーション力も低下しています。 成功経験の機会がなくなり、若者の自信の欠如や自己評価の低下につながっているのではないかと考えられます。
若者は結婚したくないの?
メリットがあれば結婚する?
8割の人は結婚の意向がある(事実婚やわからないも含む)という調査結果があります。一方で、結婚したくないという人も2割います。
結婚したくない理由として最も多いのが「メリットを感じないから(26.2%)」、次いで「ひとりで生活したいから(16.7%)」、「人と関わりたくないから(13.9%)」、「自分に時間を使いたいから(13.9%)」という結果に。
SQ3あなたは今後、結婚したいと思いますか。(1つ)
※ここでの結婚とは法律婚のことを指します。
SQ4あなたが「結婚したくない」と思う理由であなたの考えに一番近いものをお答えください。(1つ)
※ここでの結婚とは法律婚のことを指します。
- 出典:
- こども家庭庁によるWEB調査
- 調査対象:
- 15〜39歳の未婚/既婚の男女一般生活者
- 調査エリア:
- 全国
- 調査期間:
- 2024年7月8日 〜16日
- 調査方法:
- WEB調査
- 有効回答者数:
- 20000人(未婚男女18000人、既婚男女2000人)
未婚者の約7割が他のことより優先してまで結婚・恋愛をしたくないと考えている一方で、
ほぼ同割合が、結婚で精神的な安らぎ、生活の充実を求めるポジティブな意識を持っている
未婚者の6割は「恋愛や結婚は面倒だ」「恋愛よりも趣味や仕事を優先したい」と思っており、7割は「他のことより優先してまで結婚・恋愛をしたくない」と思っているようです。
一方で、「結婚することで精神的な安らぎを得ることができる(60%)」「恋愛や結婚は自分を高めてくれる(59%)」「恋愛や結婚は生活を充実させてくれる(64%)」といった結婚や恋愛に対するポジティブな気持ちも持っています。
S31では、あなた自身の恋愛や結婚についてどのような意識や考えをお持ちですか。
それぞれの項目について、最も近いものをお答えください。(各1つずつ)
- 出典:
- こども家庭庁によるWEB調査
- 調査対象:
- 15〜39歳の未婚/既婚の男女一般生活者
- 調査エリア:
- 全国
- 調査期間:
- 2024年7月8日 〜16日
- 調査方法:
- WEB調査
- 有効回答者数:
- 20000人(未婚男女18000人、既婚男女2000人)
お話いただいた先生はこちら
仁愛大学人間学部心理学科教授
森 俊之氏
福井県出身。高校までは県内で育つ。
筑波大学大学院博士課程心理学研究科修了。博士(心理学)。
臨床心理士、公認心理師のカウンセラー資格をもち、
相談活動にも従事。4児の父親。