結婚に関する衝撃のデータ

40歳からは再婚男女の成婚が急増。
「結婚先延ばしの知られざる罠」とは。

自治体結婚支援センターでも結婚相談所でも、40代に入ってからパートナーを求めて駆け込んでくる方が後を絶たない現状です。ただ、駆け込んでくる本人たちは「その時期をかなり先延ばししてしまった」とは全く思っていないケースが多く、結婚支援の現場では、支援者を以下のようなケースが悩ませ続けています。

「40代男性が、子どもが欲しいから若い女性を、できれば20代女性、妥協して34歳までの女性を紹介してほしいと当然のように希望するケースがあるのですが、そもそも20代女性は40代男性を望まれないケースがほとんどで、結婚は互いに選びあうものなので、マッチングが非常に難しい」

「40代女性がいろいろとお相手の条件を出してくるのですが、そんな条件の男性はもうすでに既婚者となっている方が多いのです」といったものです。

また、結婚を希望している当事者のみならず、特に男性側の親御さんが「40代の息子になぜ若い女性を紹介できないのか」というクレームを自治体センターに申し入れてくる事例もあるそうです。

このコラムを読んでいる皆さんは、男性であっても女性同様の年齢ゾーンで結婚が多発していること(ピーク年齢に差はない)、さらに、福井県はそもそも若い男性余り状態であることはこのコラムでもうおわかりかと思います。しかし実は、「先延ばしのリスク」は、男女人口の数の差や成婚多発年齢の問題だけの話ではないのです。

先延ばしリスク「再婚をめざす男女の襲来」

コロナ前になりますが、ある会で筆者に高齢男性が「男性なんて若くたって中年だって、どうせ低収入は負け組なんだから年齢なんて関係ないでしょう?」と言ってきました。筆者は驚いて、「今は再婚者が両方または片方に含まれる結婚が全体の結婚の1/4に達しています。再婚者という『かつての婚活力一軍男子』が再び戻ってくるまでの間に活動することは、とても意味があるのです」とお話しすると、なるほど・・・と考え直したようでした。

私のこの指摘を具体的にイメージしていただくための具体的なイメージケースは以下のようなものになります。


「再婚者襲来」のイメージ

あなたの息子さん(25歳とします)に、大好きな女性Aさん(25)がいたとします。しかし、そのAさんが大好きな男性は、残念ながら息子さんではなく、B氏という28歳の3歳年上の男性です。

そのB氏が1年後、29歳でAさんとは別の女性Cさんと結婚します。息子さん(26)にとってはAさん(26)の心をつかみに行く大きなチャンスとなります。

ここで気を付けなければいけないのは、今の時代、離婚が非常に多く(全国平均で10年間に提出された婚姻届の36%もの離婚届が提出されています)、女性は30代前半、男性は30代後半が離婚のピーク年齢ゾーンとなっていることです。
息子さんが、

1.「すぐにAさんへのアプローチを開始した場合」

と、

2.「ライバルも消えたし、のんびり長期戦でいこう!と考えた場合」

では、それぞれどうなるでしょうか。

1.では、息子さん(26)が一生懸命Aさんにアプローチします。うまくいけば1年後にAさん(27)と成婚に至る可能性もでてくるでしょう。

しかし2.では、息子さんはのんびりと「30歳になったら彼女もさすがに結婚を焦って、僕のほうを振り向いてくれるだろう」などと考えてしまいます。

ところが彼女が30歳になるあたりで、B氏の家庭内に不穏な空気が漂い始め、どこからともなく、そのことが地元で知られるようになります。Aさん(30)はそれに気がついてしまい、ひそかに期待してしまうとこともあるでしょう。こうなると息子さんは再び、不利な立場に立たされます。Aさんにとっての「かつての1軍男子」であるB氏が万が一このあと離婚とでもなると、30代になった息子さんにとって事態はさらに悪化します。


いかがでしょうか?

結婚に向けた行動を先延ばしにすると、実は今の時代、「かつての1軍再来の危機」問題が起こる可能性が看過できないのです。

「そんなに再婚なんてあるものなの?初婚を目指すうちの子のライバルなんかになるかしら?」と思う読者もいるかもしれません。そこで、今度は福井県の2024年の再婚データを分析した結果を確認し、福井県の再婚の年齢別発生件数の実態と成婚に占める割合をみてみましょう。

【2024年 福井県 年齢階級別 男女別再婚者割合(人、%)】

出所:厚生労働省「人口動態調査」より筆者分析

2024年の福井県では2025組が結婚生活に入りました。そのうち男性の17%(約6人に1人)、女性の15%(約7人に1人)が再婚者でした。全体でみると「たいしたことないのではないか?」と思うかもしれませんが、年齢別状況を確認してみると驚くような結果となっています。

20代であれば男女ともに再婚者割合は5%未満となっており、再婚者は20人に1人もいないという状態です。しかし、30代前半からじわじわと割合が増え始め、男女ともに1割を超えます。そして30代後半では男性の24%(約4人に1人)、女性の30%(約3人に1人)が再婚者という状況です。つまり30代後半で、すでに同世代の「再婚を目指す男女の参入」がかなり目立ち始めるといった状況になるのです。

そして驚くべきは40代以降です。

40代前半では男女ともに約半数が再婚者となり、初婚を目指す男女の強力なライバルとなっていることがわかります。40代後半では女性の74%、つまり4人に3人が再婚者という状態です。男性も50代以上は8割以上が再婚者となり、「耳にする結婚のほとんどが再婚者の結婚」という状態になっています。

図表からは30代前半までのうちに婚活をして結果を出しておくほうが、過酷な戦いに巻き込まれないで済むという実態が示唆されています。

先延ばし男女の打開策

では、すでに30代後半に差し掛かった(再婚者が男女ともに婚活市場に多く参入してくる年齢に入った)男女は、どのような行動を心がけると苦戦しにくくなるのでしょうか。コロンブスの卵かもしれませんが、「相手の婚歴にこだわりをもたない」ことが1つの有力な打開策になってきます。

筆者は2017年以降、複数の自治体の結婚支援センターの支援員から相談を受けて参りました。自治体センターや相談所、アプリなどでお相手探しをする際に、こだわり項目として「婚歴」がある場合、20代男女ならば、そもそも成婚者に対する再婚者の割合が非常に少ないために、あえて婚歴項目にこだわりますというチェックをして相手探しをしても統計的にみて相手探しが難しくなるということはないでしょう。しかし、30代後半以降は皆さんの息子さん、娘さんの婚活ライバルとして再婚者が強力な存在となっています。しかし、強力なライバルであるとともに、有力なお相手候補でもあるのです。親世代の皆さんにとっては珍しかった離婚も、今では多発している状態(福井県でも10年間に出された婚姻届の1/3の離婚届が提出されています)です。

「婚歴があるなんて、わけありなのでは」と頭ごなしに思いこんでお相手補候補から外す、反対する、などというのは、時代錯誤のバイアスともいえるかもしれません。

どんなことも、人には失敗してこそ学べることが多くあるものです。再婚者との成婚で幸せになっている事例を筆者も少なからず知っていますし、福井県は2024年の結婚において、初婚男性が1689人、初婚女性が1723人となっています。男女差の1723-1689=34人は、初婚女性が再婚男性を選んでいることから発生しています。数字にも表れているように、男性の方が女性の婚歴にこだわる傾向があるのですが、そのこだわりが、せっかくの運命の人との出会いの壁になっていないでしょうか。30代後半以上、特に40代以上の方にとっては想像もしなかった出会いにつながることも、むしろ少なからずではないかと思います。

前の記事へ

コラム一覧へ戻る

次の記事へ

お話いただいた先生はこちら

ニッセイ基礎研究所

天野 馨南子

あまの・かなこ
ニッセイ基礎研究所生活研究部人口動態シニアリサーチャー。 専門は少子化対策や東京一極集中、女性活躍推進など。 エビデンスに基づく分析や提言に取り組み、政府や地方自治体、経済団体の人口問題関連委員を多数務める。著書に「まちがいだらけの少子化対策」((一社)金融財政事情研究会)など。